胸部レントゲン読影で知っておくべき7つの境界線

chest-X-ray-borderline

研修医
胸部レントゲンの境界線が苦手です。
指導医
それでは今回は、胸部レントゲンの読影で知っておくべき境界線についてまとめましょう。

心陰影の弓

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  • 左第1弓(大動脈弓)
  • 左第2弓(肺動脈主幹部)
  • 左第3弓(左心耳)
  • 左第4弓(左心室)
  • 右第1弓(上大静脈)
  • 右第2弓(右房縁)

前接合線(anterior junction line)

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  • 左右の肺が胸骨背側で接するために描出される線。右上方から左下方に4-5cmほどの線状影として走行する。
  • 必ずしも垂直ではない。
  • 横隔膜直上で両側心臓横隔膜角に連続する。
  • 左右の肺が接触できなくなるような前縦隔病変(胸腺腫瘍など)で消失。

後接合線(posterior junction line)

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  • 食道の後方、かつ椎体の前方で左右の肺尖部の肺が接する面が、気管支透亮像に重なって見られる。
  • 胸郭入口部の高さから大動脈弓の高さまで認める。
  • 食道腫瘍や気管後リンパ節腫大により消失や偏位をきたす。

右気管傍線(right paratracheal stripe)

right-paratracheal-stripe

  • 右肺と気管壁右側が接することで形成される1-2mmの索状影。鎖骨から右上葉気管支上縁の高さ。
  • 気管壁内面から壁側胸膜までの脂肪組織などによって作られる。
  • 成人の80-90%に描出される。
  • 左気管支壁は肺との距離があるため、通常認められない。
  • 5mm以上の厚みで病的。気管傍リンパ節腫大、気管腫瘍、縦隔腫瘍、胸膜炎などが原因となる。

奇静脈食道線(右食道傍線、right paraesophageal line(azygoesophageal line))

right-paraesophageal-line

  • 奇静脈食道陥凹部(azygoesophageal recess)の肺が奇静脈や主として食道壁右側と接することで形成される線。
  • 食道腫瘍、気管支原性嚢胞、気管分岐下リンパ節腫大、傍食道リンパ節腫大などにより部分的な膨隆をきたす。
  • 左房拡大時にも膨隆することがある。
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左脊椎傍線(left paraspinal line)

left-paraspinal-line

  • 左肺が下行大動脈の後方で、胸椎椎体左側縁と接して生じる線。
  • 化膿性脊椎炎などによる膿瘍形成、後縦隔腫瘍、リンパ節転移、縦隔血腫などにより外側に圧排される。
  • 右側は通常描出されない。
  • 肥満者などの脂肪沈着により圧排されることもある。

大動脈肺動脈窓(aortopulmonary window(A-P window))

aortopulmonary-window

  • 大動脈弓下縁と左肺動脈上縁の間で、内側が左主気管支と気管、外側は縦隔胸膜に囲まれた内側に陥凹した領域。
  • 左反回神経、動脈管索、Botalloリンパ節、上行大動脈リンパ節がある。

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